現場へ! 自衛隊「サイハ」の今⑤
自衛隊の災害派遣をめぐるこの連載の最後に、現場の隊員たちのことを考えたい。
能登半島地震から3週間経った1月下旬に被災地へ入った筆者が驚いたのは、隊員たちの若さだ。出会ったのはほぼ20代で、最年少は昨年入隊した19歳の女性だった。
石川県の陸自金沢駐屯地から半島北端の珠洲市へ派遣された第14普通科連隊は、床が一部陥没した体育館に届く支援物資を仕分けしては車両に積み、雪が舞う中を各集落の避難所へ届けていた。
隊員たちはやりがいを感じていた。「東日本大震災の頃はまだ子どもで、初めての災害派遣です」「訓練してきたことで被災者の役に立ちたい」。大学生の部活動のような活気すら伝わってきた。
傘下の部隊を能登半島へ派遣している陸自第10師団の兵庫剛・副師団長(51)に、3月上旬に会った際にそう伝えると、「モチベーションの意味でも、次世代につなぐ意味でも、多くの隊員に経験させたいですね」と語った。
一方で兵庫氏は、隊員らの心のケアにも触れた。
「発災当初から各部隊で任務…